神様のパズル

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)


ポップな表紙と、「大学のゼミで『宇宙』を作る」というあらすじから、軽いノリを想像していたらハードSFだった。 ある意味、昨日の『スラムオンライン』と同じくらいマニアックである。 物理学方向にな

プランク定数やらフェルミ粒子やらシンクロトロン*1という単語が、まだ易しい方といえばどのくらいマニアックかわかるだろうか。 私の大学での専攻分野はかなりこの本と近かったけど(シンクロトロンを使って実験していた)、それでも序中盤からところどころわからない。
そして話の肝となる、作者オリジナルであろう「TOE(Theory of everything、万物の理論)」の説明に至ってはかなり読み飛ばした。 いや、TOEは理論として確立したらノーベル賞どころの話ではないので、ハッタリだらけなのだろうが、どこからハッタリなのかわからず考えるのを諦めた。 よく知らないけど、和製SFでここまで難しいのってそうそうないんじゃないかな。 すごい。


ただ、物語としては、ラストに不満はある(主人公とヒロインの関係はまあ好きだが)。 ここまでマニアックにやってきたのに、普通だなあと。 ハードSFから無理やり青春小説に戻したような感じだ。 あまり魅力的なキャラクターもいない。


とはいえ、予想外に楽しませてもらったのは間違いない。 施設の描写とか、規模は違えど、ちょっと見覚えがあるようで懐かしかったし。 オススメとはとても言えないけど、色んなタイプの人に読ませて感想を聞きたい気にはなるね。 理論物理が専門の人や、逆に全然知らない人は、どんな感想を持つのだろうか。


満足度:

*1:電子とかをめっちゃ加速する、km単位のアホみたいに大きな円形装置