スラムオンライン

スラムオンライン (ハヤカワ文庫 JA (800))

著者は『よくわかる現代魔法』シリーズの人です。 『ALL YOU NEED IS KILL』という作品が面白かった。 調べてみたらブログを始めてまもなくの頃に感想を書いてました。→こちら

この作品は発売当時ネットで多少評判になっていて気になったのだけれど、見送りました。 その数年後、古本で100円で発見するも積みっぱなし。 やっと読んだわけです。
オンラインのMMO格闘ゲームにハマった大学生の主人公が、バーチャルとリアル、それぞれの出会いから・・・、陳腐に言えば自分を見つける話です。もっとSF色の強い作品かと思ってましたが、ほぼ現代の話でした。 作品のテーマや、マニアックな格闘ゲーム描写は、シューティングゲームを題材にした川上稔さんの『連射王』（大好きです。→感想）と似ていますね。

　ただ、こちらはそんなに面白くなかったです。 まず、主人公に村上春樹的なオサレ臭があって、鼻につきました。唐突に普通じゃない発言――「人は血の詰まった革袋だ」とかだったかな――をして、「変なことをいう人ね」とヒロインに言わせて、「このやり方しか知らないんだ」とか言っちゃう感じ。 また、話の展開もご都合主義が強く、さんざんネットは世界規模でつながっていると言っておきながら、リアルでの遭遇率が異常に高い。どんだけ狭いんだ世界。
発売当時だと、もう少し題材に新味があっただろうから、そこが評価されていたのかもしれないけれどね。

満足度：Ｂ