アルシャードガイア リプレイ 神の贈り物

アルシャードガイア リプレイ 神の贈り物 (ファミ通文庫)

アルシャードガイア リプレイ 神の贈り物 (ファミ通文庫)


アルシャードガイア』の新リプレイが先月末に発売されましたが、それに過去のリプレイキャラが総出演していました。 せっかくなので持っているリプレイを順に読み返しました。その中でこの本は、発売当時に感想を書いていなかったので、今さら書いてみる。 発売はもう3年半も前ですか。


TRPGシステム『アルシャードガイア』について
「不倶戴天の親友」菊池たけし井上純弌によって作られた、現代・学園・ライトファンタジーTRPG。 同じ現代物の『ダブルクロス』と違って、設定は本当に軽いです。 あと『ナイトウィザード』ほどコアじゃない。 ルールも手軽で、基本的に6面ダイス2個で判定です。 ルールブックが文庫本で出ており、入門者にも敷居の低いシステムと言えるでしょう。『アリアンロッド』を現代に持ってきて、さらに<加護>*1を足した、と説明してみる。


作者の稲葉義明さんは、トーキョーN◎VAリプレイ『ビューティフルデイ』『ヴァニティ・エンジェル』など、ハードボイルドで格好良いリプレイを書きます。 菊池たけしのような「セッションの雰囲気をそのまま伝える」リプレイとは対極の、編集を加えることで小説的、映画的な完成度を高めたリプレイです。


というわけで、システムと作者が噛み合わなさそうに見える本作。 どうなったかといえば……予想通り、両者の中間、折衷案といった出来になりました。
本作発売当時は、稲葉さんのリプレイに接する機会があまりなかったので、非常に新鮮な気持ちで読んだ覚えがあります。しかし今読むと……「これN◎VAリプレイのレッサーバージョンだなあ」という感が拭えません。 高レベルキャラによる派手な戦闘、ミドル初期でのPC間対立、章頭で挿入される文章など、稲葉節は十分発揮されているのですが、世界観がシビアでない分の物足りなさを感じました。 あと、トキノ・ケイと『ビューティフルデイ』のユエがかぶるんですが、ひょっとしてプレイヤー同じなのかな。


ただ、『アルシャードガイア』でもこういうプレイができるんだと示したことには意義がありそうです。
ライト系と、シリアス系の架け橋になる作品かもしれません。『ガイア』が好きな人、稲葉さんが好きな人、双方に読ませてみたいリプレイです。


満足度:

*1:1シナリオに3回使える必殺技。ブレイド・オブ・アルカナの「奇跡」、トーキョーN◎VAの「神業」に相当する。