境界線上のホライゾン2(上)(下)


日本の戦国時代と欧州の中世を重ねて、歴史を再びなぞろうとする世界。エキセントリックなキャラクターたちが、白兵、銃撃、戦艦、ロボット、魔術、交渉、金、ありとあらゆる種類の戦闘を行ないます。ライトノベルでしかあり得ない荒唐無稽さだが、全然ライトじゃない

そもそも物理的にヘビー。上巻905ページ、下巻1153ページ。 もっと分冊しろよ……! 設定が濃く、何が起きているのかを把握するのが大変で、読むのにハードルが高いシリーズです。 読み始めると止まらないんだけど。


すでに50人ほど重要キャラが登場してますが、それぞれに過剰とも言える個性と戦力が備わっており、把握するのにも一苦労です。 基本、変人と変態しかいませんが、ストーリーは至ってシリアス。 そしてまた途中で泣ける話をやりやがるんだこいつら。 と思えば良いシーンでいきなり大惨事になったりして、アップダウンが激しすぎる。

敵ながら、アルマダの海戦に出る時の、セグンド(フェリペ二世)とフアナのシーンが一番ぐっと来ました。

「――立派になったなあ」

 うおおおお、号・泣! 
ネシンバラとシェイクスピアのやり取りも好きだし、正純の走狗*1が転送されてくるシーンも泣ける。
葵姉もカッコよかったなあ。

「尽くすだけで誰かの隣にいられるなんて、LOVEなめてんのアンタ」


しかしこの2巻を一言で表すと、最終的には「金髪巨乳」になってしまうという恐ろしさ。 感動していいのか、笑っていいのか、呆れていいのかわからないぜ。 やってることは、分類的には「愛は地球を救う」なんだが…… イイハナシダナー。


代えの効かない個性が炸裂しているシリーズで、とても面白く大好きなのですが、人への勧めにくさは最大級。 コアなファンは付いてると思うけれど、ちゃんと売れてるのかちょっと心配です。


満足度:


既刊感想→1上1下

*1:読みはマウス。電子的な使い魔、もしくはペットで、術式制御などを行ってくれる。