猫物語(黒)
- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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<物語>シリーズ最新刊です。 『化物語』がアニメ化して千石撫子が大人気になっちゃいましたね。 本作もアニメ化後、初の新刊ということで、発売日から一気に売れたとみえ、近くの書店ではしばらく売り切れでした。
本シリーズは出版順と作品内の時系列とが一致してません。本作も『化物語』の前日譚です。 シリーズ中たびたび言及されていた、「GWに起きた、羽川翼をメインとする事件」の話ですね。 ちなみに時系列で並べると傷→猫→化→偽となりますが、とはいえ出版順に読むことをお勧めします。
さて感想。……阿良々木くん(主人公)、こんなんだっけ? ラストバトル前の語りとか、ずいぶんと(ひねくれた)熱血漢になっていて、カッコいいけど少し違和感があります。 自己犠牲精神、というか自分を顧みない行動は相変わらずですが。
ストーリーは可もなく不可もなく、かな。 10月発売予定の『猫物語(白)』と二部構成と言っているけど、GWの話はこの巻だけで完結してます。(白)はもっとあとの話になるのかな。 ただ、埋めた猫が〜のくだりは、実はよくわかってない。
『傷物語』のときも思ったけれど、前日譚だと、ひたぎさんや八九寺といった魅力的なキャラが出せないのが痛い。 『偽物語』であまりキャラが立っていなかった*1、下の妹・月火にスポットを当てて、結構面白い掛け合いもあったけど――
「お兄ちゃんなんて、原型も残らなければいいよ。明日の朝は、またバールで起こしにくるからね」
「無駄なことだ。生憎だが、僕に凶器は通用しない」
月火の脅しを、鼻で笑う僕。
「僕は非実在青少年だ。条例で保護されている」
「格好いいーっ!?」
これとか。でもやはりちょっと物足りないかな。
あと、アニメ関連の話や、時系列に関するメタなネタ、好きなんだけどちょっと多すぎた。 上のセリフもその類だけど。まあ作者は楽しそうだから仕方ないかな。あと、シリアスとコミカルの行き来の激しさが増して、付いていくのがきつくなった気がする。 今回のシリアスの方向性が、今までとちょっと種類が違うから、そう思うのかな?
決して悪い出来ではないのだけれど、<物語>シリーズへの期待、それから1300円という値段を考えると、満足度は低くなりました。 BOXとかカード付きとか、無駄に高くてやめて欲しいんだけどなあ。 いい商売なんだろうな。
満足度:B
*1:なんと本作中で本人が言ってた。メタだ。