アリアンロッド・サガ2 ワンダリング・プリンセス
アリアンロッド・サガ(2) ワンダリング・プリンセス (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 矢野俊策,F.E.A.R.,佐々木あかね
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2009/07/18
- メディア: 文庫
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TRPG『アリアンロッド』で紡がれる一大戦記、『アリアンロッド・サガ』。 リプレイがメインのこのプロジェクトで、唯一の小説シリーズの2巻です。 作者は『サガ無印』でアルを演じるクレバー矢野で、主人公もアルになっています。
表紙がピアニィだったので「お、2巻からはリプレイの展開をなぞるんだな*1」と思いつつ、口絵をめくると…… 温泉シーンキターーーー!? あざといな、さすがクレバーあざとい。
さて、ストーリーですが……TRPGを元にしている以上、ある程度仕方が無い*2のだけど、やっぱりベタな話です。 謀反の疑いをかけられて逃亡する、純真無垢な王女。 牢屋に捕まっている二刀流の剣士との出会い。 裏に見え隠れする謎の組織に伝説の剣ときたもんだ。 小説のオリジナル展開である、後半の魔族との戦いもベタベタな展開だったなあ。 弱点とか。 アルがピアニィのために戦う理由などは、リプレイよりはフォローされていて良かったけれど、やっぱりよくある展開ではありました。
ところで、「魔族はピアニィのことよりも、アルの持つ伝説の剣を優先して狙っている」、という話を聞いた直後に、「ピアニィを守るのをやめれば、アルは襲われない」という前提の話が進んでるんですが、これバグだよね。
キャラクターは、さすがというべきか、ベネットが断トツで輝いてました。 彼女はいいキャラだ*3。
「あっしのことはどうか犬と! 犬とお呼び下さい!」
「それでもあっしは、恩義を忘れない主義なのでやんす。 二度も命を助けられた恩を返さずに逃げるほど、あっしは愚かではないでやんす」
そして獣人は不敵な笑みを浮かべ――、こう言った。
「ほら、よく言うでやんす。……『犬は三日飼えば三年恩を忘れない』、と」
個人的には、ピアニィが殺意に溢れているところがもう少し見たかったです。 あと関係ないけど、魔族の喋り方はN◎VAリプレイのクロイツェルそのまんまだよね。
リプレイとの共通点や差異がなかなか面白く、私はそこそこ楽しく読めましたが、ライトノベルとしては作家の力不足を感じる出来でした。 リプレイを読まずにこちらを読んだ人の感想が知りたいな。
満足度:B
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