トーキョーN◎VA The Detonation リプレイ ヴァニティ・エンジェル


かつてない面白さだった*1トーキョーN◎VA The Detonation リプレイ ビューティフルデイ あるいはヒュー・スペンサー最後の事件 (ログインテーブルトークRPGシリーズ)』から1年半。 A5版(攻略本サイズ)のトーキョーN◎VAリプレイが再び登場! これは買わずにはいられない。

トーキョーN◎VAは、「暗黒の近未来を舞台としたアーバンアクションTRPG」です。 ハッカーに占い師、企業の傀儡やカリスマ、科学者、魔術師、走り屋、新聞記者など、ありとあらゆるキャラクターを演じられ、さらにPCとゲストのみが使える必殺技「神業」の存在により、非常にヒロイックなストーリーが紡がれ、それに参加することが出来ます。一方で、(ダイスではなく)トランプを使用した判定や、PC同士の(一時的な)協力関係の構築など、システム、ロールプレイの難易度は高く、玄人好みのTRPGと言えるでしょう。 でも私は大好きだー! 3回くらいしかやったことないけど。


著者は稲葉義明さん。前述の『ビューティフルデイ』や、ブレイド・オブ・アルカナなどで、とにかく格好良いリプレイを書く人です。 プレイヤー発言すらも格好良く書き、挿入されるモノローグがまた格好良い。 PC同士のやりとりも異常に格好良く、……これセッション中にほんとに言ってるんだろうか。 リプレイというより即興劇の脚本を書き起こしたようなスタイルは、きくたけさんの対極といっても過言ではありません。 (爆笑)とか一個もないよ! だがそれがいい

RL*2/シュトラッサー(略)「ようこそ、私の新しい王国へ」
メモリ:「ここが? ずいぶんと殺風景な王国ですね」
RL/シュトラッサー:「真の偉大さとは、結局このようなものですよ」 気取った仕草で何もない闇を示します。「目で見て、手で確かめられるものなど、真理の見えぬ者たちがすがる偶像に過ぎません」
メモリ:「殿下は一風変わった世界観をお持ちのようで」
RL/シュトラッサー:「今宵は約束の逸品をご覧に入れるため、お招きしました。ひとりで観賞するには、いささかもったいない見物でしてね」
メモリ:「残念ですが、その見世物は中止にしていただきますわ」
RL/シュトラッサー:「それはどういう意味かな?」
メモリ:「シュトラッサー大公。バイオテロを企て、N◎VAに生物兵器を拡散させた疑いにより、あなたの身柄を拘束します」


ちなみに戦闘中は、ゲーム用語、特技名、神業名などが乱舞するので、ルールを知らない人はちょっとツライかもしれませんが、うまく読み飛ばして下さい。 ルール知ってると2倍面白いけど。


本作は「アヤカシ」という、妖怪的な存在にスポットライトを当てた作品で、スタンダードな構成(探偵、警察、記者、ハッカー)だった『ビューティフルデイ』とは大分毛色が違います。 前作のような衝撃的な面白さはありませんでしたが、十分楽しませてもらいました。 好きなキャラは……なんとソロモンの七十二柱の魔神にして一児の親であるPC・ベラーノかな。

ぜひぜひ、第三弾も出して欲しいです。


満足度:

*1:感想書いてないけど、2008年一番面白かった本です。

*2:ルーラー。他システムで言うGMのこと