アリアンロッド・サガ・リプレイ・ブレイク2 フレイムレギオン


アリアンロッドで戦記物。 サガ・リプレイ第3シリーズの2巻です。 F.E.A.Rの社長、鈴吹太郎GM兼筆者をつとめ、「不可能ミッションをこなす、クールでハードでシビアなリプレイ」を目指してるそうです。

いやあ、初心者向けでスタンダードなTRPGアリアンロッド……とは思えないほど難易度の高いセッションです。 あ、読むのが大変という意味ではないですよ。 むずかしいこと何も考えずに読んで楽しいリプレイです。 しかし、プレイヤー視点で読むと、悩んでしまうシナリオですね。

PCは、大陸制覇をもくろむ大国の秘密部隊に所属しています。 この時点で設定として厳しい。 1話目なんて、「同盟国の戦争を長引かせる」のが目的です。 完全に悪役だ。 まあ、ぎりぎり非道にまではならずにすむようにはしてるんですが。
そしてPC同士の関係も、目的を完全に同じくする仲間ではありません。それぞれ立場の違いや秘密を抱えています。 トーキョーN◎VA*1のシステムデザイナーである、社長らしい設定、シナリオと言えますが……事故りそうで怖い*2
特にP105のナーシア絡みの話は見てるだけでハラハラしました。

GM:これマルドールが、じゃなくて、GMのわたしが訊きたいんですが――。
ナーシア:はい。
GM:マルドールにした質問と同じことをナーシアが訊かれたら、なんて答えるんですか?
ナーシア:う。
GM:「あなたの仕事のことをロッシュが知ったら、悲しむんじゃないか」って聞かれたら、どう答えるのかなと思って。
(中略)
GM:まぁ、いいです。その話をするシーンじゃないので……。

もちろん、社長は自分とプレイヤーの力量に自信があって、みんな楽しく悩みながら話を回せると確信してやっているのでしょうけどね。 私もこういうプレイヤーを悩ませるシナリオは好きなんですが、GMを持って事故らせてしまった経験が結構あるので、読んでると色々考えちゃいます。


罠や戦闘ギミックが今回も凝っていて面白いです。 1話目は、視界内を全て破壊してしまう自爆ゴーレムをどうやって止めるか。 2話目は、絶対の成功率を誇る暗殺者から、どうやってNPCを守るか。 どちらも戦術の立てがいがある、良い戦闘でした。


最後に、サガ無印とこのブレイクをつなぐ、爆弾発言が飛び出します。 はじめて読んだ時はすごくワクワクしましたし、実際に続刊もその期待に応えてくれる面白さでした。 ……やっぱり、読んだ当時に感想を書くべきだったな。


満足度:A−


既刊感想→1

*1:近未来SF世界でのアーバンアクションTRPG。ハードな世界観で、PCの立場が敵対していることもザラ。 好きなシステムですがやる機会があまりなくて悲しい。

*2:プレイヤーが悩みに沈みすぎてセッションが進行しなくなる。