ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア1 星影の魔都
ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア(1) 星影の魔都 (富士見ドラゴン・ブック)
- 作者: F.E.A.R.,加納正顕,片桐いくみ
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2010/02/20
- メディア: 文庫
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現代異能バトルTRPG『ダブルクロス』の、リプレイ第二シリーズが開始。 第一シリーズ「ジェネシス」が(良くも悪くも)オーソドックスな作りなのに対し、こちらはなんと、PC全員が"悪のテロ組織"ファルスハーツのメンバーという、変則的かつ意欲的なものになっています。
著者兼GMは、「もう一人の田中天」とも言われる、加納正顕さん。 『ダブルクロス・リプレイ・ストライク』シリーズで、田中天からPC1を奪い取った男と言えば分かる人もいるかと。 ただ、そんなやんちゃなイメージの加納さんですが、本作では真面目な良いGMでした。
プレイヤーはクレバー矢野、合鴨ひろゆき、三田誠という『ストライク』メンバー。そして、過去最大級の目玉ゲストプレイヤーとして、なんと人気声優・若林直美さん*1が参戦。 ゲーム好きで、さらにはTRPGも昔はよくやっており、リプレイは今でも読んでいるという強者でした。 そして実際プレイングうまい。 こんなナチュラルに怖いPC初めて見たよ。
悪の組織のメンバーということで、PCはみんなそれぞれに欲望(デザイア)を抱えているのですが、若林さんのキャラ・朱香は、とにかく母親(悪の組織の幹部)に傾倒しています。ほんとやばい。 例えば、友人が実験動物扱いだったことが明らかになった時のセリフが――
朱香:(ゆっくり反芻するように)大切な、実験の、道具……。
ミユキ:……朱香ちゃん。
朱香:(うっとりした声で)いいなぁ、役に立てて……!
GM:げぇーっ!?(笑)
いやあ、それにしてもこの設定、私がGMだったらとても回せません。 GMから見て予想外の事態もずいぶん起きているはずなのに、シナリオが破綻しないのがすごい。 もちろん、悪役を演じることになるプレイヤー側がとても上手い、というのも大きいです。 レベルの高いセッションだ。
ですので、おいそれと真似はできませんが、とても面白いリプレイです。お薦め。
満足度:A