少女には向かない職業
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/12/23
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 82回
- この商品を含むブログ (225件) を見る
少女だがヒロインではなくヒーロー。 ヒーローだが少女。
作者はのちに『私の男』で直木賞を取った桜庭一樹。 富士見ミステリー文庫の『推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』を読んだ時は「スゴイ作家が出てきた!」と思ったものだ。 しかし活動の場を一般文芸に移してしまい、その結果新作がハードカバーになったり*1、あらすじが面白くなさそうだったりで、読まなくなってしまっていた。
本作は文庫になり、また古本で安くなっていたので手を出してみた。 Web連載中のエッセイ、桜庭一樹読書日記を読んで面白かったというのもある。
暴虐な大人に苦しみ、そこから抜け出そうと闘う少女2人の物語である。 どっかで読んだような……というか、上記二作品と共通テーマである。 途中までは正直言って、焼き直しというか縮小再生産にも思えてイマイチだったが、最後の方は面白かった。 特に248〜249ページ(文庫版)のシーンが好きだ。
「大人なんて、こわくない」
「は……?」
「浩一郎さん、誰も、誰も知らなかったけどね。 あたしだけ知ってたけどね。 あたしの友達は、大西葵は、特別な女の子なんだよ。 誰も知らないけど、葵は、本物の殺人者なんだよ。すごいでしょ?」
上記二作品を読んだときほどの鮮烈な衝撃はなかったが、読んで損はなかったと感じている。
例えば『砂糖菓子の〜』と本作の違いを論じれば、それだけで卒業論文くらい書けそうだ。 一般小説ということでラノベ時代*2よりすこし大人しくなったようにも思えるが、でもバトルアックスとか出てくるな。
満足度:B+
他サイトのお勧め感想:うららさん