決断力
- 作者: 羽生善治
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/07/08
- メディア: 新書
- 購入: 44人 クリック: 297回
- この商品を含むブログ (562件) を見る
◆最強の将棋指しである羽生善治の、思考の一端に触れられる本。
間違いなく当代最強、もしかすると史上最強の棋士、羽生善治。 タイトル七冠に輝き、将棋を知らない人でも羽生さんだけは知ってるという、将棋界のスーパースター。 そんな羽生が、将棋を通して得た真理や思考法について語る……となれば興味も沸くのだが、有名人の本というのは大概本人が書いていない。 残念ながら本書もおそらくその口で、「羽生はこんなこと言わない」と思える記述がやたら目に付く。 いきなり青色ダイオードの話をしたり、ビジネスの話に広げてみたりという語り口は、米長邦雄*1ならともかく、まったく羽生らしくない。 おそらくはインタビューのように聞き手書き手が存在して、そういう話題を振って無理やり繋げているのだろう。 新書だからそういう方向に話を持って行きたいのはわかるけれど、ゴーストライターが透けて見えるようなこの出来では、いっそ書き手を明らかにして羽生自身の言葉と分けたほうがマシ。
といっても、私は図書館で借りたからお金も払ってないし、読む価値がないと言うほどでもない。 面白い話もいくつかあった。 羽生でも集中できない対局はあるのだとか、駒が光って見えるとか、将棋を考えすぎて狂気の世界の入り口が見えるけれど、一応入らないでおこうとか。
しかしこの本、ターゲットが良く分からない。 将棋界の紹介とビジネス指南、どちらも中途半端だ。それなりに将棋に興味がないと面白く読めなさそうだが、将棋ファンが読むと物足りなさと違和感がありそう。 まあでも、私はもともと新書系好きじゃないから、その辺は割引かないといけないかもしれない。
満足度:B