境界線上のホライゾン I (上)


◆世界設定と人物紹介の嵐。そして大事件が起こり、次巻へ続く。


私の好きなラノベ作家ランク2位川上稔の新シリーズがついに始動! なんと1巻の上巻から540ページの分厚さだ! そして口絵の直後にいきなり30人を超える人物紹介と、70項目ほどの用語説明、さらに数ページにわたって世界の根幹設定……ってやり過ぎだー!? こんな小説、見たことないよ。


序盤(といっても普通の厚さなら優に1冊分)は、色々と小ネタを挟みながら、主要人物の紹介と、世界設定、現在の世界の状況などを語るため、かなり説明的。 でも、人物紹介や用語集、コラムのおかげで、かなり理解しやすかったと思う。『終わりのクロニクル』の1巻の方がわかりにくかったかも。

30人もいるキャラクターに、きちんと個性が付いているのはお見事。1人1人のエキセントリック度では『終わりのクロニクル』に負けるけど、今回は人数で勝負かな?

(作者公式ホームページに、人数の多さが良くわかる紹介動画があったので、リンクしてみる。ミラーサーバからファイルをダウンロードして、解凍すると見られる。)


そして、設定は濃いけれど会話は比較的コミカル。なので、厚さと設定の割には読むのが大変ではない、と思う。

「航空用の足首なし。戦闘好きな三征西班牙トレス・エスパニアらしいわね。別に私達、武蔵から出ようなんて考えもないのに、トリガーに掛けた指を見せつけるなんてサイテー。搭乗者調べ上げてうちの漫研ホモ漫画に出してやろうかしら。三征西班牙総受け……!」

中盤を過ぎると、本筋の事件もどんどんと進行していき、驚愕の事実が明らかになって凶悪な引きで終わった。いや、来月に下巻が出るんだから、引きが強いのはむしろ良いことなんだけど……540ページ読んで来てここで止められるとちょっと悲しい。 来月が楽しみだけど、きっとまた500ページ超えなんだろうなあ。


満足度:B+