連射王

連射王〈上〉

連射王〈上〉

連射王〈下〉

連射王〈下〉


◆ゲームセンターの高難度シューティングゲームを題材にした、傑作・熱血・ゲーム小説。


作者は、私の好きなラノベ作家ランク・2位の川上稔

野球部所属の高校生・高村は、自分が何かに本気になれる人間なのか悩んでいた。 だがゲームセンターで、竹さんと呼ばれる男が、最高難度のシューティングゲームに本気で挑み、クリアするのを目撃する。 高村もまた、ゲームを嫌う幼なじみとの関係が行き違いながらも、己の本気をシューティングゲームに見出していく。


いやー、面白い。友人に貸す前に読み返したんだけれど、何度読んでも面白い。 ハードカバー2冊があっという間だ。 ゲームを題材にして、これほどまでに熱い小説がかけるものなのか。 素晴らしい


……だけど、万人に勧められるとはとても言えないのが難。
私もシューティングゲームには疎いけど、最高難度のシューティングが、とてつもなく難しく、「本気」に値する物だということはわかる。 逆にそこがわからないと、この小説さっぱり面白くないんじゃなかろうか。
文体も癖があるので、好みが分かれるだろうし(私は好きだけど)、叙情的な描写はあまりない。逆にゲーム内の描写が長くて、たまにわかりづらい。突っ込みどころもきっと探せば多い。醒めた目で読んでしまうタイプの人には多分お勧めできない。

でも、ゲームに熱くなれる人なら、読めば引き込まれるんじゃないか、とも思う。シューティングゲーム自体の説明も丁寧にされているから、興味さえあれば理解は出来るはず*1

つまりは、ゲーマーにはお勧め!……でいいのだろうか。

「いいですか」
聞く。
「ゲームの王道は R P G ロールプレイングゲームに有ります。ゲームの知略はパズルゲームに。ゲームの俊敏は格闘ゲームに。ゲームの速度はレースゲームにあります」
だが、
「ゲームの本質はシューティングゲームにあります」

「それは、もはやタイトルという枠を超えた一つの称号ね。あらゆるゲームの中で、難度の高いシューティングゲームを縦横にプレイできる者だけが持てる最高の攻撃手の称号であり、そしてゲームが出来ない人々を絶対に楽しませることが可能な、……ゲームセンター最強の守り手の呼び名」
一息。
「連射王。――と、そういうべきかしら」

格好いいーー!


満足度:A+

*1:ただ、自機がやられて機数が減った時、ボム数が補充されることを、どこかでもっとわかりやすく説明して置いた方が良かったのでは。シューティングゲームやったことある人には当たり前のことだけど。