奇蹟の表現
- 作者: 結城充考,KEI
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2005/02
- メディア: 文庫
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第11回電撃小説大賞<銀賞>受賞作。かなり昔に100円で購入。
発売当時、ネットでの評判が結構良かった作品。
主人公・シマは元ヤクザの親分という、ライトノベルでは滅多にない設定。
しかも妻子を殺されて、後悔と諦めの日々を送ってるところから、物語スタート。渋いなあ……
ちなみに本人はサイボーグ化して命を取り留めたため、現在の見た目は猪男。*1
他に外見の選択肢はなかったのだろうか。
そんな主人公が、修道院で暮らす孤児の女の子・ナツと出会う。
ナツは親に捨てられた反動でか、頑なに神を信じる直情型の子。
初めはシマに警戒感を抱く。ま、そりゃそうだ。顔、猪だし。
そこに起こる、宝物「神の心臓」を巡る抗争。巻き込まれる修道院。
修道院に暮らす子供たちを守るため、シマは――
そんな、ちょっとハードボイルドっぽい話。
ただ、私はあまり面白く感じなかったわけですが。
テーマの一つが「神への信仰」なんだけど、この類の話、苦手なんだよね。
共感できない、というか単に良くわからないのか。
いっそファンタジーな神様なら割り切って読めるんだけれど、これ完全にキリスト教だし。
そのせいもあって、キャラクターの行動がどうもしっくりこない。
あと、戦闘の描写にあまり迫力がなく、展開がご都合主義的に見えた。
ラストのスタッフロール付きイラストを見るに、
ハードボイルド映画のような話を目指したんだと思うし、
それは成功してるんだけれど……
映画と違って、映像の迫力で押し切れないのだから、
人物や動機、背景などをもっと緻密に描写して欲しかった。
満足度:B−