酸素は鏡に映らない

酸素は鏡に映らない (ミステリーランド)

講談社ミステリーランドという、子供向けミステリーのシリーズ。
字が大きく余白も広いのでボリュームが少ないのに、定価２０００円。
ハードカバーで箱付きとはいえ高すぎないか。
上遠野さんを好きな私も流石に買わなかったが、図書館で見つけたので借りてきた。

うん、これ、ブギーポップが出てないだけで、完全にブギーポップシリーズだ。
タイトルで”統和機構”の中枢『オキシジェン』に関係あるのは予想していたけどね。
「あの子」（ネタバレにつき伏せ）も出てくるし、
前の記事で書いたブギーポップ最新作よりもよほど、シリーズの核心に近づいてる。
これは素直に電撃文庫で書こうよ……

ストーリーは、オキシジェンと出会った少年と、元ヒーロー役の青年、そして少女の姉が、
オキシジェンが見せた「エンペロイド金貨」の謎を解く――というもの。
謎とはいいつつもミステリー分はほとんどなし。『ミステリーランド』なのにいいのかな？
内容はいつもどおりの上遠野さん、としかいいようがない。
話の中で、「酸素」は人にとって必要なものではあるが、毒でもある。「他人」もまた同じ――
というくだりはなかなか面白いと思った。

ラスト近く、”語り手”のセリフより。

特に教訓もなく、まとまった意味もない。何を受け取ろうが、何も感じなくてもいいような、そんなテキトーな、支離滅裂なハナシだったワケだが、しかしな、読者諸君――それを言ったらこの世の中ってのはそーゆーもんなんだぜ？

話自体は結構好きなので満足度は高めにつけたが、
しかし２０００円で買っていたらボリューム不足に不満を覚えただろうと思うし、
単体で完結しているべき作品としては、ちょっとブギーポップシリーズとのリンクが強すぎはする。

満足度：Ｂ＋