姑獲鳥の夏

姑獲鳥の夏 (講談社ノベルス)

姑獲鳥の夏 (講談社ノベルス)



実はまだ読んでいなかった京極夏彦を、今更ながら読んでみた。
ノベルス版は古本屋に沢山あって、ずいぶん前に100円で買ったのだけれど、
文章量が多いので積んだままだった。
面白いという噂は聞いてたんだけど。


で、ついに読んだのだけれど、確かにとても面白かった。
日本古来の土着信仰的なものの不気味さと、
語り手の感覚や知覚の不確かさから来る不安感が、
全編を通して、読者をぐいぐいと惹きつける。
少しホラー的な部分もあると言えるだろうか。
また、推理役の人物が、非常に知的で面白い
脳、意識、記憶などについての講釈には説得力があった。


読むのには大分時間がかかったが、途中で飽きることなく、
最後まで読みきってしまった。これはお薦めです。まあ大体の人が読んでるだろうけど。


ただ、狭い意味での*1ミステリとして読むのは、
止めたほうがいいかもしれない。


それにしても、私が読んだライトノベルのうちいくつかは、
これに影響を受けてるんじゃないかなあ。
先にこちらを読んでいたら印象が違ったかも。


満足度:

*1:トリックとその解を楽しむような