イカロスの誕生日

イカロスの誕生日 (ソノラマ文庫)

イカロスの誕生日 (ソノラマ文庫)

そろそろ名前を覚えていただけただろうか。良質のSFを書く小川一水さんの、昔の作品。ちなみに小川一水さんのサイトはこちら


本作はライトなSF。何千人かに一人の割合で、翼をもった人間――イカロス――が産まれる世界。イカロスに産まれついたものはみな、基本的に個人主義で、悪戯好きで、破天荒で、縛られるのを何より嫌う。そんな典型的なイカロスの少女・はるかが、政府(そしてその裏にある組織)によるイカロス弾圧政策に対し、どう立ち向かっていくか〜という話。


最初は正直、主人公はるかのあまりのいい加減さに、共感するより「迷惑な奴」と思ってしまったが、ひょっとするとそれも作者の計算のうちだったか。作中の「一般の人々」の気持ちをトレースさせられた気分。
最終的には、はるかの言い分が正しいと思ってしまったし。少数派に対する弾圧――なんて重いテーマも、適量を巧く混ぜてると思う。


でもあまり面白くないんだよなあ。ご都合主義な展開が多いのが問題か。
あと、飛行理論を真面目に話している箇所が、科学が好きな私が読んでも、あまり良くない。専門用語は使っているけど、上手く説明できてないようだ。


悪くはないけど、普通。

満足度: