カンガルー日和

カンガルー日和 (講談社文庫)

カンガルー日和 (講談社文庫)

雑誌に書かれた23編の短編を集めた本。短編というか超短編。23編あっても250ページ。しかもページの上下が随分空いている。「改行が多くて下半分が真っ白」なライトノベル*1に匹敵する密度の薄さである。
そして内容も薄い。というか、ない。オチもない。あるのは村上春樹の文体と、雰囲気だけだ。

ちょっと気に入った会話を引用してみる。結婚式に出席すると眠ってしまう「僕」と彼女との会話。

「あなた、本当は結婚したいんじゃないの?」
「だから他人の結婚式で居眠りをする、と」
「復讐よ」
潜在的願望によってもたらされる復讐行為?」
「そう」
「じゃあ地下鉄に乗るたびに居眠りする人はどうなる? 炭鉱夫願望なのか?」

全編こんな感じなら面白かったんだけどね。多くは毒にも薬にもならない、良く分からない話ばかりだった。

満足度:

*1:ライトノベルの中には実際そういうのがあるが、勿論そうでないのもある