GOSICK II

既刊感想:1巻


推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』などの青春小説で人気を集めた女性作家・桜庭一樹。こちらのシリーズは随分毛色が変わり、圧倒的にツンデレ*1、探偵ヒロインによるライトミステリー。
キャラクターはベタベタに作ってきたな、という印象。探偵役のヴィクトリカは、幼い外見、尊大なしゃべり方、世間知らず、そして素直になれない、と、女性が書いたとは思えないほど「狙った」キャラ造形。ただ、擬態語の使い方などには女性っぽさが垣間見え、そんなあざとさを多少緩和してるように思える*2。しかし助手役・九城一弥との絆の描写は、ツンデレのイベントとしては王道な物が揃っていて、読んでる方が恥ずかしくなるね。
ミステリー部分は、まあ富士ミスとしては及第点。トリックなどはほとんどなく、どちらかと言うとサスペンスに近い構成で、悪くはない。とはいえこの本の評価は、ヴィクトリカを好きになれるか――もっと正確にいえば「萌え」られるか――によるのだろう。私はあまり。脇キャラの活発な女の子・アブリルの方が気になる程度。

さいごに、あとがきに書いてある作者の友人の話が非常に面白い。私も変わった友人は多い*3つもりだが、負けるかも。

満足度:

*1:簡単にいうと「素直になれない」系の性格。詳しくは「ツンデレ」をクリックすると説明が出る。
心の底から要らない知識なので読まなくても良いが、解説の最後の2行には笑った。

*2:あまり作者が女性だ男性だというのは気にはしていないが、いわゆる「女性的な」感性というのは存在すると思う。もちろん男性の中にもそれを持っている人はいるが。

*3:だが友人は多くない