銀河英雄伝説3

銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (徳間文庫)

銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (徳間文庫)

既刊感想: 1巻 2巻

この名作『銀河英雄伝説』シリーズは、ノベルス版、徳間文庫版、徳間デュアル文庫版と3つの形式で販売された。不思議なことに、前2つは全10巻なのに、デュアルだけは何故か内容は同じで全20巻になってる。実質価格100%アップ! なめてんのか。
で、書店ではほとんど見かけない徳間文庫版で揃えようと思ったら、この3巻だけ在庫がなく、古本でプレミアがついているという。重ね重ねなめてんのか。……まあノベルス版なら古本で安く手に入るんだけれど。
ともあれ、やっと続きが読めました。内容は相変わらず素晴らしい。この巻は特に、政治がらみで色々と辛辣な描写があり楽しい。腐敗した民主政治コワイ。あと、最近日本でも右翼っぽい意見が増えてる気がするけど、「愛国心」とか何も考えずに使ってる人はとりあえずこの本読んだほうがいいと思う。その前に「正義の戦争」とか言ってるどっかの国民に読ませるべきか。

「(中略)国家が細胞分裂して個人になるのではなく、主体的な意志を持った個人が集まって国家を構成するものである以上、どちらが主でどちらが従であるか、民主社会にとっては自明の理でしょう」
「自明の理かね。私の見解はいささか異なるがね。人間にとって国家は不可欠の価値を持つ」
「そうでしょうか。人間は国家がなくても生きられますが、人間なくして国家は存立しえません」
「……こいつはおどろいた。君はかなり過激な無政府主義者らしいな。ちがうか」
「ちがいます。私は菜食主義者です。もっとも、おいしそうな肉料理を見ると、すぐ戒律を破ってしまいますが」
「ヤン提督! 当査問会を侮辱する気かね」

毒舌楽しい! さて、私の好み上、こんな政治がらみの所を紹介してしまいましたが、難しい本じゃありません。エンターテイメントとしても一流で、読んでて楽しいこと間違いないので、まだ読んでない人は是非どうぞ。

満足度:A−