第六大陸 1

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)



西暦2025年。南極等、極限環境下での建設事業を手がけてきた後鳥羽建設は、壮大なプロジェクトを任される。予算1500億。工期10年。そして建設地は……月。今、民間企業による大規模な月開発計画、「第六大陸」がスタートする――


素晴らしい!! 『復活の地』でもこの作者には感動させられましたが、それに劣らない興奮を味わいました。やっぱり宇宙は浪漫ですね。ちなみに星雲賞受賞作品です。
最初数十ページから感動してしまいました。科学によって世界が豊かになった様が緻密に描かれていて、これは科学好きな人の理想郷ではないでしょうか。

技術開発は進み、世界は豊かになり、人々が宇宙旅行を望む機運も高まっていったが、「まだ」だめだろう、というのが、その分野に詳しい人間の一致した考えだった。もう少し――あと少しコストが安くなり、科学が進歩し、個々人が豊かにならなければ……しかし、誰にも気づかれることはなかったが、それは本当に「あとほんの少し」だったのだ。

もうワクワクしっぱなし。さらにすごいのが、その後、宇宙基地の見学やロケットの新技術などが出てきて、大分先が見えてきたかな……という矢先に出てくる敵役が!!

なにはともあれ、第六大陸は人々の熱狂的な期待を集めていた。
だが、人類すべてが祝福してくれたわけではなかった。
彼らがいた。人類初の実用ロケットを産んだ男を祖に持ち、人を空の上に送り、十二種の足跡を月に刻み、八つの惑星全てと冥王星の素顔を撮影し、直径百億キロの太陽系が自分たちの庭だと豪語する、この星でもっとも優秀で野心的な集団が。
アメリカ航空宇宙局
NASAは、負けていなかった。

敵はNASA!! かつてこれほどまでに魅力的な敵役が存在しただろうか!!
と、おもわず興奮してしまうほど面白い小説です。全2巻。次巻に続く。


満足度:A+