第六大陸 2

第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)



あらすじは昨日のを参照。NASAとの競争や、国際法上の問題が浮上し、「第六大陸」の計画は危機に瀕する――という話です。


一応ライトノベルっぽい所として、第六大陸の計画者は少女で、「月に結婚式場を作る」というのが主(?)目的です。それはそれで説得力がちゃんとあったので良かったのですが、それに付随する人間ドラマの描写に難がありました。長く悩んでいたのがあっさりと解決したり、唐突に人間関係に変化が起きたり。それから最後に出てきた「アレ」も必要があったかどうか…… 無理に普通のSFに近づけなくても良かったのでは。


ただそれらの欠点を差し引いても、この小説が並外れて面白いことに変わりはありません。難解な用語も出てきませんし、SF好きの人には勿論、SFを日頃読まない人(というか私も読んでないや)にもお勧めです。是非どうぞ。

では好きなシーンを引用。月面でウェディングドレスを着てみたけれど歩けない――という場面です。

「裾の接地摩擦が靴の摩擦よりも大きいんだな。軽い花嫁さんだと進めないか……」
「どうしましょう。やっぱり裾持ちさんがいるんじゃ?」
「そんな人手はないよ。そうだな……マルチブルのモリブデンベアリングの予備を縫い付けるか。ちょっところころ音がするかもしれないけど」

満足度: