禁涙境事件

禁涙境事件  ”some tragedies of no-tear land”

禁涙境事件 ”some tragedies of no-tear land”

「諸君、泣くのはよそう。涙は禁止だ。我々は生き延びた。だが、残念ながら――」
言葉の途中で、エルウィンド・リーチは殺された。彼は「あらゆる魔法効果を四分の一にする」結界をこの地に張り、この街の基礎を作った戦場魔導師であった。この特殊な地は、この最期の言葉から「禁涙境」と呼ばれている。 ……それから30年後、「残酷号」と呼ばれる存在により、禁涙境は終わりを告げた。そして、この地を訪れた戦場調停士EDの手により、この地で起きた数々の凄惨な事件が、今、一つの線に繋がる――


作者は『ブギーポップ』シリーズの上遠野浩平。これは『事件』シリーズの第4作目。ファンタジー設定でミステリーっぽいことをやっているシリーズです。今作はなかなか謎も登場人物も魅力的で、引き込まれました。謎の真相は結構適当ですが、悪くは無いです。そして相変わらずの上遠野節も健在。

 牙が、彼の身体に突き刺さると思えたその瞬間に、そのすべてが根本から砕け散った。
 硬さで負けた――というよりも、そもそもこの怪人に不用意に触れるものは、全て砕け散るのだとでもいうような、そんな粉砕のされ方だった。

何言ってるかわからねぇー! だがそれがいい。上遠野さんの文章が好きなら是非どうぞ。


満足度:A−