カラミティナイト (ハルキ文庫)

カラミティナイト (ハルキ文庫)

カラミティナイト (ハルキ文庫)

「前に、俺に同じ事を聞いた連中は、みんな死んだよ。それでも聞きたいか?」
趣味は読書、低い身長がコンプレックスの沢村智美は、登校途中、陰気で無愛想な編入生・遠野忍と偶然出会う。噂に寄れば彼の周りでは過去に何度も血生臭い事件が起こり、彼は両親、従兄弟、担任を次々に亡くしているらしい。そのため彼は呪われているなどという噂も起きたが、真実それは、忍に移植された<『災禍の心臓』の呪いによるものであった。巧妙な策略により、『災禍の心臓』を巡る陰謀に巻き込まれる智美。かくして5番目の『災禍の騎士(カラミティナイト)』は生まれ、今夜、災禍の夜(カラミティナイト)のとばりが落ちる――


『ディバイデッド・フロント』が非常に面白かったので、過去の作品であるこれにも手を出してみました。ジャンルは、正統派の現代ファンタジー、といったところ。『ディバイデッド・フロント』はシリアスとコメディが上手くバランスを取っていましたが、こちらは完全にシリアスです。真面目な話である分、古く感じられがちなところを、「守られる男の子と守る女の子(ただし弱気)」という珍しい関係や、災禍の騎士の力・「狂気」の源を、意外な所から持ってくるなどして、補っています。心情描写も全体に丁寧ですし、展開も容赦がなくてなかなか良いです。


しかし、満足度は低めでした。その理由は、キャラクターが好きになれなかったこと、これに尽きます。特に主人公がコンプレックス持ちの弱気、うじうじ系のヒロインで、読んでいてイライラすることこの上なし。ああ鬱陶しい。他のキャラも、例え殺されかけても相手を殺すことに強い拒否感を持っていたりして(それが本当は正しいのかもしれないが)、攻撃的な性格の私としてはスッキリしない部分が多かったです。おそらくこっちの方がリアルに近くはあるんでしょうが……


満足度: