レディ・ガンナーの冒険

獣に変身でき、他にも様々な特殊能力を持つ「異種人種(アナザーレイス)」や、
彼らと人間との「混血」(インシード)達が存在する世界。
公爵の娘キャサリンは、遠い外国の幼馴染みの苦境を救うため、馬車に乗る。
匪賊が出没する荒れ果てた半島を横切るため、同乗してもらったのは4人組の傭兵。
早速襲われる馬車。しかし迎え撃つ傭兵は随分と風変わりな人(?)たちで……?


作者は『デルフィニア戦記』『スカーレット・ウィザード』の茅田砂胡
ちなみに、このニ作品は非常に面白いのでお勧めです。


さて本作ですが、全体に今ひとつ。
特に、たまたま雇った傭兵が世界でも随分と特殊な存在である――というのがちょっと。
いや、特殊な存在と偶発的に出会うことで「主人公」になる、
というパターンなら良かったのです。巻き込まれ型の導入ですね。
しかし、この作品のキャサリンは開始時点から既に目的をもち、
既に苦境に陥る条件を満たした「主人公」だったわけです。
それが、本当に理由もなく出会った傭兵が実は――で、そして
そいつらによってトラブルが片付けられていく、というのは都合が良すぎでは。
また、そのせいで主人公・キャサリンの印象が薄まり、全体に散漫な印象になっています。
デルフィニア』のリィなどと同様に、
「特殊な存在」自体を主人公に据えるべきだったと思います。
タイトルの『レディ・ガンナー』というのも生かされてませんし。
(というかタイトル失敗では)
そして当の「特殊な存在」傭兵達も、特殊能力を持ってるのは分かるのですが、
性格的な個性はあまり発揮できずじまい。色々と中途半端です。


ただ、ストーリーには終盤に多少のどんでん返しもあり、結構良かったと思います。
上の2作が面白かったので、その期待の裏返しで色々書きましたが、
実際の所、そこそこの出来ではありました。


満足度: