アリソン
- 作者: 時雨沢恵一,黒星紅白
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2002/03/01
- メディア: 文庫
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大陸には川を挟んで二つの大国があり、長い間争いを続けてきた。
主人公のアリソンとヴィルは17歳で、幼馴染。
アリソンは軍の新米女性パイロット。ヴィルは記憶力と射撃に秀でた学生。
休暇中、二人はホラ吹きの老人に出会い、宝の話を聞かされる。
その宝は「戦争を終わらせる」ほどの価値があるというのだ。
楽しく聞いていた二人だが、その直後、老人は怪しい役人に連れ去られて――?
デビュー作の短編連作集『キノの旅』シリーズが大ヒット。
おそらく最近では一番人気のライトノベル作家、時雨沢さんの別シリーズです。
良い意味でライトノベルらしい話でした。
アリソンとヴィルのキャラクターと、幼馴染関係の描写がうまいです。
一見「勝気な女の子と振り回される男の子」というありふれたパターンですが、
ヴィルは弱気な性格ではなく、能動的にアリソンに着いていっていて、
本質的には対等(というかむしろヴィル優位な気も)な、良い関係ですね。
『キノの旅』のドライさとは打って変わって、温かみのある小説になっています。
物語としては、ご都合主義というか主人公特権のオンパレードで、
ライトノベルとしてもさすがにやり過ぎではないかと思うくらいなのですが、
それでいてなかなか緊迫感のあるシーンも上手く書いています。
全体に読みやすく、人気が高いのもうなずける作品でした。
個人的にも、ここずっと暗い話が続いていたので、これを読んでほっとしました。
「ライトノベル」を読みたい人には非常にお勧めです。
満足度:A−