ちーちゃんは悠久の向こう

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)


「僕」は、両親に問題を抱えつつも、それでも、
幽霊好きの幼馴染・ちーちゃんに引きずられながら、
平穏な、それなりに楽しい学校生活を過ごしていたはずだった。
しかし僕らは本物の怪異と出会い、ちーちゃんは世界から乖離しはじめ、
そして僕の周囲は、加速度を増して壊れ落ちていく――


若干17歳にして、新人賞を5賞同時に受賞するという(勿論それぞれ違う作品で)
衝撃的な登場をした日日日(ひびあきら)のデビュー作。
第4回新風舎文庫大賞受賞。


読みやすく、そして引き込まれるストーリーでした。
やや饒舌な一人称と、少し醒めた主人公の性格は、西尾維新を思い出させます。
こちらは西尾作品ほど性格が曲がってませんが。
また、全部読んで振り返ると、タイトルも上手いです。
いや、とても楽しめました。


難を言えば、学歴に言及している部分や後書きで、
作者の青さが透けて見えてしまっているのが多少興をそぎますが、
作者の年齢を考えれば、むしろ他の部分の完成度が並外れて高いと言うべきでしょう*1
これは楽しみな新人が出てきました。他の受賞作も出たら買ってみます。
将来性含みでかなりお勧め。


しかし3冊連続で、似た傾向の話を読んでしまった……


満足度:A−

*1:ちなみにこの本の中で一番駄目だった部分は、久美沙織による解説。凄い勢いで的を外してる。