ジャストボイルド・オ’クロック



人気シリーズ『悪魔のミカタ』の作者、うえお久光の新作(といっても1年半前か)。これも図書館から。


人類が「家電」と「共生」して生まれてくるようになった新しい時代。
元「ヒーロー」で今は探偵をしている主人公・ジュードと、
その相棒の家電・アル(目覚まし時計、外見はネコ型)が繰り広げる、
“ハードボイルド”ほど真面目じゃない、“ジャストボイルド”な、SF探偵アクション。


まず、家電と共生という、軽くSFな設定が面白い。
あと、主人公が「ヒーロー」をやめることになった事件の真相が、うまい具合にストーリーと絡んでいた。
主人公と相棒のコンビも良い具合に砕けて(ジャストボイルドで)いて良かった。

「……だがな、それでも世界は続き、おれたちは生きてくんだ。
 どんなにゆがんでしまっても、いびつに見えても、精一杯、がんばって、死に物狂いでなりふり構わず、な。そのためなら共生だってなんだってする。家電とだって付き合う。依存? 間違い? それがどうした。おまえがどう思おうとも、それもひとつの生き方だ」
「……」
「……ていうか、いまさらテレビやクーラーのない生活なんかに戻れるかい。なあ?」
《ポジティブ!》
「ポジティブ!」
パン、と手を打ち鳴らすような音が響く。

とはいえ、少し危機感が足りなすぎる感もあるし、ご都合主義に見える部分が少しあったところは残念。
また、ラストバトルはもう少しきちんと描いて欲しかった。
余談だけど、探偵助手見習いのミカル(11歳少女、クール、おかっぱ頭)の出番が少ないのも多少不満。好みのキャラです。
もし2巻が出たなら出番が増えてることを期待。


満足度:B+