緋面都市



楽園の魔女たち」シリーズの樹川さとみ、スニーカーデビュー作。
……といっても、もう10年以上前だけれど。


耽美的というかBLっぽいというか、そんな表紙と挿絵に不安をかき立てられたが、
読んでみると美形の男性が多く出てくるくらいで、そういう描写はなかった。当たり前とはいえ良かった。


舞台は近未来、ただし戦争で荒廃後。地上は汚染され、人類は皆地下に住んでいる。
主人公は弱気な貴族。アンドロイドをかばって殺人犯になり、都市から逃げてきて、
スラム街で元傭兵と少年に出会い、色々あって皇帝の「ゲーム」に参加することになり、
銃撃戦したりアンドロイドが出てきたり盛りだくさん。
うまくまとめてはいるけど、やはり詰め込みすぎたか。
キャラクターの描写が足りず、展開もご都合的になりがちだった。
それから、戦闘シーンの描写が淡泊すぎていまいち。
行数は割かれているけど、緻密さや緊迫感に欠ける。
ただ、ラストシーンは良かった

「それでは」
「お友達からはじめましょうか」


やはり樹川さんは、少しはコミカルが入った方が上手いと思う。


満足度: