LAST KISS (電撃文庫)

LAST KISS (電撃文庫)

LAST KISS (電撃文庫)

“私が死んだら、お兄ちゃんはきっと泣くと思います―”
夏休み、難病で入院していた妹・由香が一時退院してきた。世話を任された兄・智弘は、無口で暗い由香を疎んじるが、次第に、自分を慕う由香の気持ちを理解していく。しかし由香の病気は、智弘が考えていたよりもずっと重いものだった――


評判が高いようなので買ってみたのですが、外れでした。病弱な妹(義理)、白血病、骨髄移植、勝気な幼馴染みなどが出てきて、直球でベタな話です。これだけ道具立てが揃えば、結末までのストーリーラインはほぼ一本。それでも枝葉となるエピソードは色々と作れたと思うのですが、それもあまりなし。主人公のモノローグを、緩い大阪弁にするといった工夫はありますが、そも主人公が慕われる理由がわからない。こういう話は、読者を感情移入させれば勝ちなのですが、無理でした。まあこれは読む側の資質も大きいでしょうが……。ともあれ少なくとも、もっと悲劇的に描写するべきだったと思います。


満足度:C+