ディバイデッド・フロント III



異形の怪物“憑魔”と戦うことを宿命付けられた
少年少女たちが集う戦場、「北関東隔離戦区」。
主人公・英次、イチル、宮沢らが所属する「イコマ小隊」は、
先の事件の後、雰囲気が暗く澱んでしまっていた。
そんな彼らの前に現れたのは、隔離戦区内の英雄、兼アイドルにして、
イチルの元恋人でもある朝霧和麿。
彼の「みんなでバーベキューをしよう」というふざけた提案に流される隊員たち。
そして、以前の明るい雰囲気を取り戻しかけたその矢先、
イコマ小隊最後にして最大の危機が襲いかかる――


サブタイトルは「この空と大地に誓う」です。シリーズ最終巻。
素晴らしい出来でした。
特に気に入ったのは、新キャラの朝霧。最初出てきたときは、
「最終巻でこんな軽いヤツ出して大丈夫なのか」と思ったけれど、
笑わせてもらったし、決めるところは決めるし、非常に格好良かった。

「頑張れ、宮沢二士! その調子だ、マジでいい感じだぞ! 実にぐっと来るもんがある!
その上目遣い、そのたどたどしいしゃべり方! その紅潮した頬! エクセレンツ!
完璧だ! まるで計算された演技のよう、しかしどう見ても天然以外に有り得ない
『初恋オーラ』が君の全身から凄まじい勢いで放射されている!」

引用するのはこんな台詞ですが。いや、戦闘前後とかは本当に格好良かったですよ。


他の皆も、それぞれ必死に戦い抜いていて、胸を打たれます。
キャラの内面が分かる一人称の利点を、存分に生かしていました。


ライトノベルらしい軽くて笑えるギャグ部分と、一方通行の恋愛、
そして戦場での、死と隣り合わせの極限状況の描写とがかみ合った、傑作。
非常にお勧めのシリーズです。


満足度:A+