キーリ

第9回電撃ゲーム小説大賞“大賞”受賞作。


主人公のキーリは、教会の寄宿舎学校に通う霊感の強い少女。
彼女が初めて会った「死者が見える仲間」は、伝説の「不死人」だった。
その「不死人」ハーヴェイと、彼の持つラジオに憑いた霊・兵長の二人旅に同行するキーリ。
段々と互いのことを知り合っていきながら、ついに旅の目的地についた彼ら三人。
しかしそこに、教会の「不死人狩り」がハーヴェイを追って現れる――


第9回の電撃大賞は稀に見る豊作だったそうです。
<金賞>が『七姫物語』と『バッカーノ!』。どちらも読みましたが、良作でした。
そして今回、<大賞>のこの作品を読んだのですが……この3作品の中で一番地味です。
キーリもハーヴェイもテンションが低めのキャラクターですし、
霊魂を扱っている話なので、全体にどこか物悲しい雰囲気が漂っています。
ただ完成度は高いです。
ところどころに光る表現や台詞もあるので、落ち着いた話を読みたい人には良いかも。

ひょっとしたらこの惑星に神さまはちゃんといるのかもしれない。それはもう完全無欠に立派で公平な人格者で、強い者にも弱い者にも、お金持ちにも貧乏人にも、ただ平等に見守るだけで決してどちらか一方をえこひいきして手を差しのべるなんでことはしないのだ。なんてありがたい神さまなんだろう。死んじゃえ。

特にこのモノローグが大好きです。


満足度: