ディバイデッド・フロント II   

人類の敵、「憑魔」と戦うことを宿命付けられた少年少女たち。
希望の見えない隔離された戦場で必死に生きる彼らの前に、赤い憑魔が現れる――


凄い。1巻も凄かったけれど2巻も凄い。
戦場は少年少女のあくまで等身大の視点から描かれています。
その独特な一人称の描写は、日常会話だけでなく戦闘シーンにさえも、
緊張感を失う一歩手前ぎりぎりの「軽い」表現が入っていて、
それが逆に圧倒的なリアリティを作り出しています。
戦場だからといって、日々の生活においてユーモアを、そして恋愛感情を失うことはできず、
そして本当に危機的な状況にぶち込まれたら、言葉を飾る余裕など実際ないでしょう。

「――土岐英次は……」
俺は手にした武器を構え、イチルの脇をすり抜けてカマキシどもに突っ込んだ。
「――攻撃力が18上がったッ!」

この本を読めば、一見ふざけたこの台詞に込められた闘志がわかるはずです。
お勧めです。


満足度: